おそらく、一般的な内科外来では最も頻度の多い疾患のうちの1つです
・コレステロール(TC, LDL-C, HDL-C)
・中性脂肪(TG)
これらの値と忙しい中で診ていると、つい
「コレステロール高いな。よし、クレストールon!」
「中性脂肪にはリピディル使おうかな・・・」
と反射的に処方を出しがちです。
食事療法、運動療法を進めることは第一ですが
それが奏功しない場合は、目標値を決めて処方を考えていきましょう
【管理目標の数値】
コレステロール管理の目的は
『冠動脈疾患の予防』これに尽きます
そのため、
一次予防としては冠動脈疾患のリスク別に
低~高リスクでコレステロールの目標値が変わります
そして二次予防では
冠動脈疾患の既往のある人に対して、更にシビアな目標設定がなされています。
治療方針 | 管理区分 | 脂質管理目標 | |
LDL-C | TG | ||
一次予防 | 低リスク | < 160 | < 150 |
中リスク | < 140 | ||
高リスク | < 120 | ||
二次予防 | 冠動脈疾患の既往 | < 100 (< 70) |
大体、病院の血液検査では140を超えたあたりで赤字で表示されますが
上を見ると、皆がそこで横一線の治療になるわけではないことがわかります
■一次予防(冠動脈疾患の既往がない脂質異常症患者)の考え方
まずは、以下の4疾患のいずれかがあれば高リスク
①糖尿病
②慢性腎臓病(eGFR<60)
③非心原性脳梗塞
④末梢動脈疾患(ABI<0.9)
いずれも当てはまらない場合
以下の5つの危険因子で当てはまる数と、年齢・性別に応じてリスク化される
1.喫煙歴
2.高血圧
3.低HDL-C血症(< 40)
4.耐糖能異常(75gOGTTで境界型、糖尿病型)
5.60歳前後での冠動脈疾患の家族歴(男性:55歳未満、女性:65歳未満)
※75gOGTTで「空腹時BS>110 or OGTT2時間値>140」が境界型+糖尿病型
危険因子 | 男性 | 女性 | ||
40~59歳 | 60~74歳 | 40~59歳 | 60~74歳 | |
0個 | 低リスク | 中リスク | 低リスク | 中リスク |
1個 | 中リスク | 高リスク | 低リスク | 中リスク |
2個 | 高リスク | 高リスク | 中リスク | 高リスク |
■二次予防(冠動脈疾患の既往あり)
基本的にLDL-Cは2ケタで管理する必要あり(<100)
下記はよりリスクが高いため、<70という厳しいコントロールが必要とされる
・家族性高コレステロール血症
・急性冠症候群
・糖尿病
■実例
例1:65歳女性。高血圧あり
↓
低リスク群(LDL-C< 160で管理)
低リスク群(LDL-C< 160で管理)
例2:50歳男性。糖尿病、高血圧あり。
↓
高リスク群(LDL-C< 120で管理)
高リスク群(LDL-C< 120で管理)
例3:70歳男性。糖尿病・高血圧・喫煙あり、心筋梗塞の既往あり。
↓
二次予防(DM合併あるため、LDL-C< 70で管理)
【コレストロールの治療薬】
次回に続きます
二次予防(DM合併あるため、LDL-C< 70で管理)
【コレストロールの治療薬】
次回に続きます
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